コーチングを行う上で「GROWモデル」を用いてクライアントとセッションを行なうと効果が出やすいとされています。
GROWモデルの流れを覚えるとクライアントや部下と話すときや面談等で活用できるので、より良いコミュニケーションのために学んでいきましょう!
目次
1、GROWモデルとは
GROWモデルとはGOAL(目標)、REALITY/RESOURCE(現状・リソース)、OPTIONS(選択肢)、WILL(意思)の頭文字をとったものである。
GOAL・・・ゴール・目標の設定
REALITY・・・現状確認
RESOURCE・・・すでにある資源の把握
OPTIONS・・・選択肢をたくさん出す
WILL・・・意思を決定する
以上の流れに沿い、クライアントとセッションを進めていきます。
コーチングを学び、いざ実践しようという時にGROWを活用してみましょう!
それでは各パートごとに解説していきます。
2、GOAL・・・ゴール・目標の設定
目標設定について
目標設定はクライアントが理想の未来を思い描きワクワクすることがとても大事です。
どうなったら理想的なのか、どうなりたいのか、
まずは制限を外し何でもできるとしたら何がしたいのか、妄想を膨らませます。
目標に対して五感を駆使して具体的にイメージするとさらに目標達成しやすくなると考えられています。
例えば、理想の姿になった時、何が見えますか?あなたはその時何を感じてますか?周りからの声はどう?
と、映像化できると良いでしょう。
また目標に対し、水平質問「他には?」を繰り返すことで、クライアント自身が「どうなりたいか」をよりイメージできるようにします。
クライアントがワクワクしながらたくさんの理想を思い描き、案を出して目標を設定していきます。
そして今日のセッションでどこまで明確にしたいか、その中で何について話したいかを決めましょう。
SMARTの法則を使う
クライアントにとって良い目標とは
現実的であるが「チャレンジ」することでなければ意欲がわかない。
具体的で現実味もあるが、挑戦したいことに目標を設定します。
目標設定をする時に用いられる「SMARTの法則」というものがあります。
「SMARTの法則」とは
Specific(具体的)、Measurable(計測可能)、Agreed・Achievable(合意した・達成可能な)、
Realistic・Related(現実的・関連性のある)、Time phased(期限が明確)
の頭文字を取ったものである。
Specific・・・具体的にイメージできる
Measurable・・・計測可能、数値にして分かりやすく
Agreed・Achievable・・・達成可能だが簡単ではない
Realistic・Related・・・現実的で一貫性を保っている
Time phased・・・時間の段階ごとに設定されている
〜Specific・・・具体的にイメージできる〜
「英会話を上達したい」という場合は、
「海外旅行に行った時に飲食店で英語で話せるようになる」や「英語検定の資格を取得する!」など具体的にイメージできるような状態に落とし込みます。
例)
「成績を上げる」→「通知表の評価を3科目アップする」「授業前の予習を行う」
〜Measurable・・・計測可能、数値にして分かりやすく〜
「ダイエットする」という場合、
「半年後までに10キロ体重を落としたい」「ウエストサイズを59センチにする」など数値としてわかりやすく目標設定します。
例)
・「売り上げを上げる」→「1ヶ月で5件の契約を決める」「100万円分売り上げを達成する」
・「速く走れるようになる」→「フルマラソンを4時間以内で走る!」「50メートル走で10秒以内に走る!」
〜Agreed・Achievable・・・達成可能だが簡単ではない〜
簡単に達成できそうなことでなく、努力すれば叶うことに設定します。
例)
「来月のフルマラソンを3時間以内で走る」→「来月のフルマラソンを完走する」
〜Realistic・Related・・・現実的で一貫性を保っている〜
クライアントの真の欲求にあっていること。長期のビジョンにあっていることを目標にします。
〜Time phased・・・時間の段階ごとに設定されている〜
目標達成までの期日を決める、また時間に関する細かい詳細を確認します。
例)
・「2・3か月中に〜する」→「●月●日までに〜する」
・「いつか〜をスタートする」→「来週水曜日から〜をスタートする」
3、REALITY/RESOURCE・・・現状確認/すでにある資源など
ゴール・目標を決めたら、次に現状把握を行います。
その目標に対し、今の時点でどこまでできているか、着手したものはあるか、現在全体の何パーセントできているかなどを確認します。
また、使えるもの(リソース)は何があるかリストアップしていきます。
REALITY・・・現状把握
目標に対して客観的に現状どこまで達成しているか確認しましょう。
過去におこなった行動はあるのか、過去の成功体験や、
着手したことはあるのか、また現在取り組んでいることはあるかなど、現状に対する質問をします。
100%中、現在は何%できているか、その出来ている何%には何があるのか、数値として聞くのもわかりやすいかと思います。
改めて現状を確認することで、目標に対して「全く進んでいない」「何もできていない」と感じていたクライアントが、すでにできていることや着手していることに気づき「思っていたより意外と進んでいることがあった!」と自信がつくこともあります。
RESOURCE・・・すでにある資源の把握
目標達成・問題解決するために、使えそうな資源の確認を行いましょう。
人・物・お金・情報・時間・知識・過去の成功例などが挙げられます。
目標に向けて手助けしてくれる人はいるのか、使えるものはあるのか、確保されている予算はいくらなのか、期日がいつまででどのくらい時間をかけれるのか、過去にうまくいったケースはあるのかなどをリストアップしていきます。
足りないことでなく、やってきたこと・あるものに着目することが大切。
目標設定と現状把握は話の中で行ったり来たりすることがありますが問題ありません!
現状と目標が合っているか丁寧に対話していきましょう。
4、OPTIONS・・・選択肢をたくさん出す
目標・現状確認ができたら次に行動案を出していきます。
ここで大切なのはできるだけ多くのアイデアを出すこと!
目標達成のために必要な行動とは何か、まずは正しさや思い込み、制限を外しとにかくアイデアを聞きます。
例えば、「私には〜は無理だから〜くらいでちょうどいいのかな、、」など、クライアント自身が制限をかけてしまってはもったいないですよね。
「何でもできるとしたらどうしますか?」
「あなたの尊敬している人だったらどのように行動すると思いますか?」となど、否定的な思い込みを外せると良いと思います。
また、選択肢を出す中で一つのことを深掘りせず、
「他には?」と水平質問で別の方法はないか、可能な限りたくさんの案を出しましょう。
「他には?」と繰り返し聞くことでクライアントがさらに考え、より案を引き出すことができます。
5、WILL・・・意思を決定する
目標を決め、現状把握をし選択肢を出したら次は実行へ移すため具体的に計画を立て意志を明確にしていきます。
これまでに出した行動案を見てその中で何をするのか、またどういった順序で進めるのか優先順位を決めます。
すぐにできることは何でしょうか?いつまでにしますか?誰が行ないますか?などと、
5W1H「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「どれくらい」を軸に具体化するとわかりやすくなります。
また、この行動は「目標」と合っているかを再確認しましょう。本来の目的とズレがないようにチェックしておきます。
セッションの最後にはクライアントの実現に向けてのやる気を確認し、コーチは行動を促します。
結局はクライアント本人が行動しなければ何も変わりません。クライアント自らが行動し実現に向けて、約束や報告のリクエストをしてみましょう。
「今日決めたことを行動した結果をまた来月のセッションで教えてくださいね!」
「次回お会いした時に何を報告してくれますか?」など、コーチへの報告を約束すると良い意味で緊張感を持つことができ、行動力がより上がることが期待されます。
「セッションを受けた時はやる気だったんだけど、行動しなかったなぁ」・・・なんてことにならないように、コーチはクライアントが行動できるようにサポートしましょう。
短期目標、長期目標でチェックポイントを入れても良いかと思います。
6、まとめ〜流れにとらわれすぎないこと〜
コーチングの「GROWモデル」は、
目標を設定し、現状を確認、選択肢や行動案をたくさん出し、どのように実行していくか決め行動を促す、といった流れを丁寧にクライアントとの対話で引き出します。
GROWモデルは基本でこの流れに沿ったセッションが効果が出やすいとされていますが、
一番は「クライアントの真の欲求に耳を傾ける」ことが最も重要です!
コーチは「GROW」通りにやらなきゃ!どんないい質問をしよう!などと考えて話を聞いていると、クライアントの本来の目標を受け取れず、可能性を引き出せなくなりますよ。
クライアントと同じ景色を見るように、クライアントが心から話したいことに集中してセッションをしましょう。
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